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『警視庁文書捜査官』 麻見 和史

「警視庁捜査一課十一係」シリーズ(WOWOWにて、木村文乃主演でドラマ化もされた)の麻見和史の新シリーズです。

警視庁文書捜査官 (角川文庫)

警視庁文書捜査官 (角川文庫)

  • 作者: 麻見 和史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/01/25
  • メディア: 文庫


主人公は、「捜査一課文書解読班」班長、鳴海理沙警部補。
文書や文字から事件の真相にアプローチする独特な捜査を展開します。

一大勢力になっている警察小説のうち、女性捜査官モノのひとつ。
さらに、ドラマ「相棒」以降流行の「特別班」モノでもあります。
つまり、よくあるパターンではありますが、これは「文書捜査官」というものが新鮮。
手書きの文字や、走り書きのメモから書き手の個性や事件の手がかりを推理するあたりは、シャーロック・ホームズの血を引く名探偵の姿を彷彿とさせており、楽しいです。

事件自体は、いたずらに複雑で、解決手法も2時間サスペンス風に安易ですが、まあそこを減点しても新鮮みが勝り、面白く読めました。

著者の代表シリーズ「警視庁捜査一課十一係」はオーソドックスな捜査チームの群像劇ですが、「文書解読班」は2人だけの小さな所帯。感情移入がしやすく、こちらのほうが読みやすい。
続編も出たようなので、期待です。

ただ、「文書捜査官」という少し狭い範囲に特化した捜査を描いておりますので、バリエーションが豊富とはいえないでしょう。シリーズの量産には向いていないかもしれません。
「警視庁捜査一課十一係」の合間に書くのかな。

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ドラマ『TRICK』~まるごと消えた村

野際陽子の訃報に接し、まっさきに思い浮かべたのが『TRICK』の山田里見役。
仲間由紀恵演ずる山田奈緒子の母親です。

トリック(2) [DVD]

トリック(2) [DVD]

  • 出版社/メーカー: パイオニアLDC
  • メディア: DVD


追悼、というわけではありませんが、なにか1話だけ見返そうと考え、迷いなくこのエピソードを選択。
2000年に放送されたシーズン1の2番目のエピソード。
シリーズ全体で、このエピソードが一番好きです。

17年前の作品ですが、野際陽子がほとんど変わっていない。あのころから年を取らなくなっていたかもしれません。
仲間由紀恵も、阿部寛も、生瀬勝久もあまり変わっていませんが(仲間は、太った。髪型は変わっていないので、痩せればまた山田奈緒子役ができる)、
作中にVHSのビデオテープが出てきたり、携帯電話がアンテナ伸ばすやつだったりと、微妙に時代を感じさせます。

話は、冒頭の謎が大きく、次々に謎が現れる展開も良い。
ただ、細かい展開には強引さもあるし、真相のトリックもさほど巧妙ではありません。
話の完成度だけなら、他に良いエピソードがあるかもしれません。

しかしながら、盛夏の日本の村、そこから村民がダレもいなくなり、探偵コンビだけが謎を追い求める、という構図が良いです。
一夏の冒険、といった雰囲気が良く出ています。
音響では、蝉の鳴き声をうまく使っています。
被せていると思いますが、シーンに合わせてうまく強弱をつけている。

そして、なにより、篠井英介が演ずるミラクル三井というキャラクターが秀逸。
キャラの作り込み度がすごい。プロの仕事です。
この1話で消えてしまうのはもったいないくらい。

次の週末には、また別のエピソードを見返してみようと思います。
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『黒い白鳥』 鮎川哲也 [鮎川哲也]

読書帳を見たら、なんと5度目の再読でした。

黒い白鳥 (創元推理文庫)

黒い白鳥 (創元推理文庫)

  • 作者: 鮎川 哲也
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 文庫


代表長編を多いと4、5回も再読する作家が、私には3人います。
横溝正史、高木彬光、鮎川哲也です。
「横溝・高木・鮎川スクール」という言葉があったそうですが、まぎれもなく戦後本格を代表する3人であり、中学高校時代の少年・編集責任者を育ててくれたのは、まさにこの3人の巨匠でした。

5回目になりますが、(再読としては)今回がもっとも楽しめたかもしれません。
事件を多視点で浮かび上がらせていき、刑事たちは地に足の着いた堅実な捜査を続けます。
現代本格と比べると、スピード感はありませんが、炙り出しのように徐々に事件の輪郭が明確になっていく様子はたいへん面白い。
リアリズム捜査小説かと思いきや、その中にしっかり手がかりを蒔いている。
これがまぎれもない本格ミステリーであることが分かります。

第一の殺人(陸橋から死体を列車の屋根に投げ降ろす)で、被害者の替え玉が中華蕎麦を食べているのを偶然目撃される、というエピソードをすっかり忘れていました。この出来事の読者への見せ方が上手い。
こういう細かいところまで、よく作り込まれた傑作です。

初めて読んだのは、角川文庫版。
この版に掲載された時刻表は、巻末にまとめられていました。
(普通は、関係する場面のところに必要なページだけ差し込む)
ちょうどミニ時刻表のような感じで、3、4ページにわたって時刻表が続いていたのです。
犯人がアリバイを説明するシーンでは、こちらも時刻表を開くがごとく、巻末のページをめくったことを思い出します。
時刻表が何度も駆使されている、時刻表ミステリーの王、『黒い白鳥』だからこそ味わえる醍醐味でした。
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