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『人間じゃない』 綾辻行人 [綾辻行人]

2017年は、綾辻行人のデビュー30周年。

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集

  • 作者: 綾辻 行人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本


高校からの帰りに立ち寄った書店で、平積みされていた講談社ノベルス版『十角館の殺人』を見つけたあのときのこと、いまでもよく覚えています。

「デビュー30周年 2冊同時期刊行!」と銘打った企画ですが、1冊が新装改訂版、もう1冊が未収録作品集というのは、いささか寂しい。

この『人間じゃない』は未収録作品集で、中編1つと短編4つが収められています。

「赤いマント」は、『人形館の殺人』の後日談
「崩壊の前日」は、『眼球綺譚』収録の短編の姉妹編
「洗礼」は、『どんどん橋、落ちた』の犯人当て小説シリーズのひとつ
「蒼白い女」は、『深泥丘奇談』の番外編
「人間じゃない―B04号室の患者―」は、『フリークス』番外編

館シリーズ、犯人当て、怪談、ホラーと、おおまかながら綾辻行人の作品群全体を俯瞰するように、幅広に収録されています。その意味では、30周年にふさわしい短編集かも。

「洗礼」の中身の犯人当てテキスト部分(いつものように入れ子構造)と
「赤いマント」は、オーソドックスな本格ミステリで、このまま眠らせておくのはもったいなかった。

「人間じゃない―B04号室の患者―」は、もともと「漫画原作として考案したプロット」だそうで、「漫画だからこそ成り立つ仕掛け」を使っています。
漫画版は読んでいませんが、確かにこれは面白いかもしれません。
小説では、工夫はされていますけれど、衝撃度は漫画よりは薄くなっていると思われます。

読み終えた勢いで、いま、『フリークス』を再読しています。
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『Another エピソードS』綾辻行人 [綾辻行人]

いつのまにか文庫になっていたので読みました。

Another エピソードS (角川文庫)

Another エピソードS (角川文庫)

  • 作者: 綾辻 行人
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫


映画化もされた『Another』のスピンオフ的作品。一部、登場人物がかぶりますが、事件(というかメインの出来事)はまったく別の新しいお話です。
『Another』を未読でも本筋を楽しむには問題ありません。

いわゆる幽霊探偵モノ。
“ぼくをころしたのは誰?”と、被害者=幽霊が真相を探ろうとするところから物語はスタート。

登場人物も少なく、ストーリーもシンプル。ページ数も多くないため、一日で読了しました。
ホラー色濃厚ですが、テンポはたいへんよろしい。

ミステリーの要素もあるホラーかな、と緊張せずに構えていると、そこは綾辻行人。
ただでは物語は終わらない。

ネタバレになるので詳しくは申しませんが、綾辻らしい仕掛けをちゃんとしこんでありました。

こういった軽量級の作品も悪くありませんが、やはり「館シリーズ」の新作に期待したいですね。

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『時計館の殺人』 綾辻行人 [綾辻行人]

久しぶりの綾辻行人。『時計館の殺人』は3読目。

時計館の殺人<新装改訂版>(上) (講談社文庫)

時計館の殺人<新装改訂版>(上) (講談社文庫)

  • 作者: 綾辻 行人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/06/15
  • メディア: 文庫


1992年の日本推理作家協会賞受賞作。
「新装改訂版」ではついに上下二巻になった長い物語ですが、だれることなく一気に再読できました。閉鎖空間での連続殺人を描く手法は、この館シリーズ第5作ですっかり完成されています。

私は館シリーズでは、この『時計館~』が一番気に入っております。
大トリックは本格ミステリーの華。この作品では見事に決まっております。
館の名前、形状、トリックがすべて意味を持ってつながっているのも良い。たとえば、『十角館の殺人』は、“八角館”でも“十二角館”でも、いいわけで。

さて、綾辻行人は警察が嫌いなのかどうかわかりませんが、作中に警察官がほとんど出てきません。(例外は、『殺人方程式』シリーズ。主人公グループに警察官がいます。)
もちろん、閉鎖空間を舞台にすることが多く、当然、警察の介入を描く必要がないのですが、『時計館~』では、連続殺人が終了した後、警察の捜査が入っているにもかかわらず、そのあたりの描写はうまく省略して、最終的な真相の解明シーンに突入しています。

平凡な犯罪計画であれば、警察が本格的な捜査を実施した段階で、犯人の仕掛けなどは暴露してしまうものです。しかし、『時計館~』のメイントリックは、一般人の思考を超越してしまっているので、警察捜査でも見抜けなかったというのは納得。

綾辻行人は寡作な作家。ファンは館シリーズの新作を首を長くして待っております。
私もその一人です。

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『奇面館の殺人』 綾辻行人 [綾辻行人]

館シリーズの最新作、『奇面館の殺人』を読みました。
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館シリーズの9作目。第1作『十角館の殺人』が発表されたのが、1987年ですから、もう25年にもなります。
とはいえ、最初の5年間に6作目の『黒猫館の殺人』まで発表されてますので、刊行のペースはぐっと落ちてます。
今世紀に発表された3作は、本格の味付けのあるホラー&サスペンスの『暗黒館の殺人』、ジュブナイルの『びっくり館の殺人』、そしてこの『奇面館の殺人』と、変化に富んだラインナップになっていますね。

さて、その『奇面館の殺人』。一言で言えば、“端正な本格”。
偶然なのかどうか、法月綸太郎も最新作『キングを探せ』で端正な本格を試みています。
麻耶雄嵩も、彼としてはオーソドックスな『隻眼の少女』と『貴族探偵』を近年発表しました。
1990年前後デビュー組の、いわゆる“新本格”といわれた作家たちの、ひとつのトレンドになるかもしれません。

舞台は、おなじみの建築家・中村青司が設計した「奇面館」。
で、お約束の「吹雪で孤立」。
館の主人の意向で、客たちは皆、のっぺりした仮面を被させられる。
朝起きてみると、仮面を被せられた上、鍵がかけれらて外せない。
そこで、発見される館の主人の首無し死体……

客たちは背格好も似ていて、同じ服を着せられている。
つまり、仮面の下の人物が入れ替わっている可能性がある。そして、遺体には首がない。

さすがはベテランの綾辻行人、アイデアの処理がうまく、とくにミスディレクションはみごと(あまり詳しく書けませんが)。
解決へ至るロジックにも無理がなく、よいバズラーに仕上がっています。
事件の件数に対して、長すぎるという見方もあるとは思いますが、中盤における探偵・鹿谷門実による状況分析もある意味ミスディレクションとなっているわけで、これはこれで必要かと。

ただ、館のギミックも犯人像も小粒であるのは否めず、『霧越邸殺人事件』や『暗黒館の殺人』のような、重厚長大な綾辻作品を期待している人にとっては肩すかしかもしれません。
私などは、『十角館の殺人』『迷路館の殺人』『どんどん橋、落ちた』などの、切れ味鋭い担当のようなバズラーこそ綾辻の主戦場と考えていますので、久々の本流と喜んでおります。

前作の『another』といい、バズラーとしての綾辻行人、完全復活といったところでしょうか。
次作にも期待です。何年後かな。

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『Another』 綾辻行人 [綾辻行人]

2006年の『びっくり館の殺人』以来、3年ぶりに発表された綾辻行人の最新長編『Another』を読みました。
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ハードカバーの厚さは相当なもので、『暗黒館の殺人』以降の重厚長大路線を象徴しています。
しかし、『Another』はとてもリーダビリティーがあり、どんどんページがめくれていきました。
叙述の視点は、主人公の少年に絞られており、いつしか少年と同化して、この不思議な物語に引き込まれていきます。
1980年代後半から1990年代前半にデビューした、いわゆる「新本格」組では、抜群の文章力を持つ綾辻行人の本領発揮といったところ。

ある地方の公立中学校を舞台としたホラーとして物語は進行していきます。
『殺人鬼』系とは異なり、血しぶきが飛んだりはしませんが、静かに押し寄せる恐怖がなかなか怖い。
普通のホラー(といっても、私は恐怖小説はほとんど読みませんが……)と違って、怪奇現象が現れるルールのようなものが序盤にやたらと説明されるところが変わっています。
じつは、このルールを逆手にとって、ミステリ的な仕掛けを仕込んでくるわけです。

非現実的な設定を小説に盛り込み、斬新なロジックを組み立てて犯人捜しを展開するミステリというのは珍しくはありません。最近では、「チョーモンイン」シリーズの西澤保彦などが得意としている手法ですね。
あれは、SFというかファンタジーですが、『Another』はそれをホラーでやっているのが新鮮なところ。

もともと、ミステリとホラーはあまり相性は良くないはずです。
怪奇現象を扱っていてもそれを合理的に説明する、というのがミステリですから。
しかし、『Another』はホラーでありながら、ミステリ的な興味も満足させる不思議な傑作です。
私は『暗黒館の殺人』より、こちらのほうが好きです。

英米のミステリ作家並に寡作な綾辻行人ですが、なるべく早い内に「館シリーズ」の最新刊を手にできる日が来るのを祈っています。

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『びっくり館の殺人』は大人の物語? [綾辻行人]

昨夜、読了いたしました。綾辻行人の『びっくり館の殺人』。
それなりに楽しめました。
綾辻が書くジュブナイル、ってだけで興味がありましたからね。

お得意の館の平面図はバッチリ載ってます。
「館シリーズ」の雰囲気は出ておりました。

主人公は小学6年生の男子。「ぼく」という一人称で話は進みます。
総ルビですが、子供には難しいと思われる熟語もばんばん使われてます。
さらに、結末も「これ、小学生に読ませるのはどうよ?」と、ちょっとためらってしまうような、横溝正史チックな真相!

『びっくり館の殺人』は講談社の「ミステリーランド」というシリーズの1冊。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のための“ミステリーランド”」だそうです。
値段も高く、税込みで2100円だし(装丁がとてもしっかりしてます)、
かならずしも子どもが読みやすいように書いていないことから、どちらかというと「かつて子どもだったあなた」向けの企画なのでしょう。

とにかく、あまり考えずにさくさくと読めるのがよかったりします。


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