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『片桐大三郎とXYZの悲劇』 倉知 淳

2016年版「本格ミステリベスト10」の2位。

片桐大三郎とXYZの悲劇

片桐大三郎とXYZの悲劇

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/09/24
  • メディア: 単行本


私が倉知淳の作品を読むのは、『星降り山荘の殺人』以来の2作目。
文体があまり好きになれず、積極的には手を出していません。
『片桐大三郎とXYZの悲劇』も、味覚が合わないのを我慢して咀嚼した感じ。
そこまでして、なぜ読んだのかというと、エラリー・クイーンの悲劇四部作を下敷きにしているからであります。あの食材をどんなふうに調理したのか確かめたくて。

長めの短編というか、やや短い中編四つから構成されています。
それぞれが、クイーンの『Xの悲劇』『Yの悲劇』『Zの悲劇』『最後の事件』と対になっています。
本歌取りになっているのはシチュエーションくらい。
(たとえば、第一中編は、満員の路面電車ならぬ、朝の山手線車両内で毒殺が起きますが、本家に似ているのはその程度で、その先はまったくのオリジナル)

ドルリー・レーンに相当するのは、やはり聴覚に障害を持つ元俳優・片桐大三郎。
このキャラクターがあまり良くない。
濃いキャラが、なにか上滑りしているかんじ。
小説の途中、片桐大三郎の一代記のようなものが何度か挿入されますが、筋には影響なく、まったく不要。リズムを崩すだけ。

『最後の事件』と対になっている第四中編では、ワトソン役の若い女性が名探偵になりかわって推理を試みる、という設定を借用。
面白いと思ったのは、本家クイーンの『最後の事件』における、前作『Z~』からの叙述上の変更点(スミマセン、ネタバレを避けるために曖昧に書きますが、既読の方ならすぐに分かると思います)をまんまと利用して読者をミスリードしているところ。
これは上手い。私もすっかりだまされました。

いいアイデアなのですが、せっかくの事件がしょぼくてアイデアを生かし切れていません。

アイデアを生かし切れていないのは、ある意味、本家『最後の事件』もそうなのですが、まさか、そこまで本家と同じにしなくてもいいのに。

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