So-net無料ブログ作成
検索選択

『火車』 宮部みゆき

宮部みゆきの代表作中の代表作 『火車』 を読みました。

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

  • 作者: 宮部 みゆき
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/01
  • メディア: 文庫


「このミステリーがすごい!」の宝島社が行った企画、1988年~2008年の20年間の「ベスト・オブ・ベスト」で、国内ミステリ部門第1位に輝いたのが『火車』でした。山本周五郎賞受賞作。

負傷のため休職中の刑事が、親戚の青年から「失踪した婚約者を捜してほしい」と依頼される。刑事が調べると、婚約者は自分の意志で姿を消した模様。しかも過去にクレジットカードの使いすぎによる多重債務におちいり、自己破産していたことがわかり……。

有名な作品ですから、冒頭部までのストーリーは知っている方も多いと思います。
私も昔、土曜ワイド劇場のドラマ(出演:三田村邦彦、財前直見、森口瑤子ほか)を観ていたため、大筋は知っていましたが、小説はたいへん楽しめました。

カード破産という社会問題を、うまくエンターテイメントとして料理する技術はさすがです。
“人捜し”というミステリの普遍的なパターンを使い、プロット自体は単純でオーソドックスですが、展開がうまく、サスペンスを十分に堪能できます。

過去を消して生きている犯罪者の、その知られたくない過去を厳しく暴き立てていく物語は、松本清張の『ゼロの焦点』や『砂の器』を思い出させます。
『火車』はそれら古典的名作と十分肩を並べるデキに仕上がっています。宮部みゆきは、“社会派ミステリ”の書き手として松本清張の正統な後継者といっていいでしょう。

私は宮部の長編はほかに『誰か』と『模倣犯』しか読んでいませんけれども、それらより『火車』は遙かに面白い。
あいかわらず、登場人物は皆“良い人”ですが、心の傷をお互いになめ合う“宮部節”は『誰か』や『模倣犯』ほど唸りませんので、あまり気になりません。

ただ、ミステリとして仕掛けはさほど特筆すべきものではないので、ミステリの「ベスト・オブ・ベスト」のNo.1という位置づけがどうかな、という疑問は残りますが。

nice!(0)  コメント(3)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 3

天下布武

宮部さんの地位をついに不動にした感のある
作品ですよね。
買ったのに読んでなく、しかも手元に無い!
ど~なってるんだ!俺よ・・


こう、なんといいますか、宮部さんと東野圭吾で
ある程度のエンターテーメントの隠し味的なものが
できあがった気がしますね。

女性は、この隠し味を作風にするのがうまいのかな。
女性脳、というのがこういう娯楽作に適しているというか、
東野圭吾もミステリ作家としては女性脳が強い作家かな、
と思いました。

とんがった男性脳的な作家では法月とか綾辻とか思い浮かべ
ますね。ガチな本格で遅筆。なんか男性っぽいです^^

今でもカード破産ってあるのかな。
利息の正当性、グレーゾーンの問題が出てくる前の作品ですよね。

消費者の中にも、サラ金や闇金で借りるだけ借りて確信犯的に
自己破産する人もいるみたいですね。

「火車」の主人公はかわいそうな経緯なんですよね。
小説の最後で名前がどうのこうのって、聞きましたが、
そこがミステリ的仕掛けなのでしょうか。
by 天下布武 (2008-08-22 01:24) 

編集責任者

ラストまで真犯人が直接姿を現さないことで有名になりました。
ラストシーンでも犯人のセリフはありません。
人物を描くのに外堀からじわじわ埋めていく典型です。

ご指摘のとおり、宮部の出世作ですね。
私もこの長編は面白いと思いました。

あとは、『理由』とか『名もなき毒』あたりでも読んでみます。
by 編集責任者 (2008-08-25 20:52) 

天下布武

『理由』読みました。
ぜひ映画をビデオで観てみてください。
飛びます!
by 天下布武 (2008-08-27 17:28) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1