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『人形はなぜ殺される』 高木彬光 [高木彬光]

昭和の戦後ミステリ史そのものである高木彬光の最高傑作『人形はなぜ殺される』を読みました。
なんと、6度目の再読でした。

人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)

人形はなぜ殺される 新装版 高木彬光コレクション (光文社文庫)

  • 作者: 高木 彬光
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/04/12
  • メディア: 文庫


プロローグでの怪奇ムードの盛り上げも、自称詩人が書き残した犯罪計画を匂わす詩も(“人形担いでえっさっさ”だもんね。)、松下研三が結婚式を妨害するシーンも、ひとつひとつを取り上げてみればセンスがないけれど、全編にみなぎる熱気がものすごい。
高木彬光の場合、このみなぎる筆の勢いがあるかないかが、傑作か否かをわける分水嶺です。
『人形はなぜ殺される』の第二幕に匹敵する謎は、『刺青殺人事件』の心理密室と、『甲冑殺人事件』の第一幕くらいしか思いつかないと神津恭介に言わしめる自信。
(ところで『刺青殺人事件』の優れているポイントは、モダン・ディテクティヴ・ストーリー的にみると、風呂場の密室ではなく、刺青をめぐるトリックです。
かつて土曜ワイド劇場で神津恭介を演じた近藤正臣の「研三君、入れ墨は消せるんだよ」のセリフが忘れられません。
『甲冑殺人事件』は、神津恭介シリーズの“書かれざる事件簿”ですね。ぜひとも読みたかった。)

いま冷静に読むと、じつは神津恭介の推理はそれほど論理的ではないし、犯人が実際にとった行動についての説明がかなり粗い。
それでもここには探偵小説の面白さが詰まっています。
見えない犯人と名探偵の知的闘争、首なし死体、奇術師と降霊会、「ひひひひ」と笑うせむし男。
二度にわたる読者への挑戦状。
高木彬光らしからぬキレのある題名『人形はなぜ殺される』
文章も、このころになるとだいぶこなれてきてます。

衒学的な趣味を横溢させたり、技巧的な文章を凝らしたりしなくても、良き本格ミステリが書けるという勇気づけられる作品です。
現代では映像化不可能というわれた『点と線』がドラマ化されましたので、この『人形はなぜ殺される』もCGを駆使してでもぜひ完全映像化を期待です。

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コメント 2

天下布武

なぜ殺されたんだっけ・・・^^


題名勝負の傑作ですね。

いや、せむし詩人の「人形かかついでえっさっさ」怖いですよ~

中1の頃、震えました。
あまつさえ、学校さぼって読んでたから、
「おれ、こんなことしてていいのか」という
不安とあいまって、鮮明なトラウマ。
作品の評価にわたしは不純物入りすぎです。

「刺青」の風呂場のトリック、うわ~ですものね。
でも利用できそう実際^^
心理密室・・・・?
う~ん、確かに、密室より、そっちの方がすごい。
刺青してるもん・・

高木彬光、島田荘司も二度挑戦状を入れましたね。
有栖川有栖は負けてたまるかと「双頭の悪魔」で三度の
挑戦状!
もはや挑戦ではなく、ストーカー^^

「人形はなぜ殺される」映像化されたら、
良い子のみんなは夜トイレに行けなくなりますってば~

観たい^^
by 天下布武 (2008-04-25 00:49) 

編集責任者

映像化は監督次第では、ホラーテイストを強調した
ものになりそうですね。
病院の標本室とか、降霊会とか、ギロチンとか、
そのあたりを映像で徹底的に強調して。

問題は、神津恭介を誰が演じるかですね。
演技力があれば、福山雅治かとも思うものの
彼には無理。

映画版でも、神津の妹ということで、
森口瑤子にも出演してほしい。
松下研三は、大和田獏でOK。
by 編集責任者 (2008-04-29 11:07) 

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