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『ボーン・コレクター』 ジェフリー・ディーヴァー

「このミステリーがすごい」の「ベスト・オブ・ベスト」企画で、海外部門の3位に輝いた『ボーン・コレクター』を読みました。

ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)

ボーン・コレクター〈上〉 (文春文庫)

  • 作者: ジェフリー ディーヴァー
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 文庫


科学捜査中に犯行現場のトンネルが崩壊して重傷を負い、四肢麻痺となった科学捜査の権威、リンカーン・ライムが、連続誘拐犯“ボーン・コレクター”と対決する物語。
ライムが動かせるのは、首から上と左手の薬指だけ。
“ボーン・コレクター”はタクシーを使って被害者を拉致監禁し、さまざまな時限装置を用いた死のワナに被害者を縛りつけます。
“ボーン・コレクター”は、被害者のそばに必ず次の被害者が監禁されている場所を示す手がかりを残します。素人が見ても何なのか判らないゴミのようなものも、ライムの捜査によりその隠れた意味があぶり出されます。そして監禁されている被害者を救い出しますが、また次の監禁場所の暗示が。
こうして、次々と事件が連鎖していく、スピード感にあふれるサスペンス小説です。

ライムの捜査が、単に科学捜査の知識をひけらかして終わりというタイプでないのが新しいところ。
ライムの思考の飛躍がスリリングです。

さて、確かに面白い小説ではありますが、第3位というのは、ちょっと過大評価かな、とも思いました。
極めて巧妙にエピソードが連鎖しており、プロットはスピーディーで飽きさせませんが、ひとつひとつのシーンは、ハリウッド映画から切り貼りしてきたような感じがします。
作中でも、映画についての言及が散見されますが、その作品はすべてハリウッドの大作映画。物語を陳腐にさせているのが残念です。
犯人の設定もありがちなもの。
ラストシーンのアクションも、とてもハリウッド映画的。
全体からアメリカの匂いがただよっている小説でした。

トマス・ハリスの『レッド・ドラゴン』や『羊たちの沈黙』を読んだときは、
「これはすごい。さすがはアメリカの新しいミステリだ」
と感心したものですが、『ボーン・コレクター』くらいなら、近年の日本ミステリのほうがレベルは高いと思います。

ちょっと否定的なことを書きましたが、肩肘張らず、通勤列車内の時間つぶしくらいの軽い気持ちで読めば、十分時間が経つのを忘れさせてくれます。
それから、池田真紀子という訳者の訳は良いと思いました。


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コメント 2

天下布武

背景のデザイン変わりましたですね!
二回くらい更新されてたでしょうか?
とてもモダンな(とでも言うような)温かみ~


映画も観なかったです、ボーン・コレクター。
そういう事情だったのですね。さすが、
現代ともなると、安楽椅子探偵もシビアな
境遇に置かれるものです。

おお!なんか、犯人のそういう性癖というか
犯罪趣向、最新作にも通じる何かを感じます。
(未読ですけど立ち読みで)。
したがって、まさにここにもアルジェントの
「オペラ座・血の喝采」っぽいイメージが
含まれている、と感じたり!


日本のたとえば横溝の「見立て殺人」なんかが、
西洋風に置き換えられると、こういう趣向に
もしやなるかも、と思わせる。
そういえば、トミー・リー・ジョーンズの
爆弾男映画にも似た感じの趣向を見ておりました。

じゃ、やはり映画化を前提に描かれた(そうでない
海外ミステリはあるのか、とも思いますが)作品といった風
でしょうか。

日本のミステリも格段にレベルがあがってきましたね。
80年代は、ミステリマガジンなどを読んでて、
原語で日本の推理小説を読む外国人の編集者の
インタビューとか載ってましたが、
「夏樹静子と赤川次郎くらいしかいない」と
しゃべっていました。その二人さえちょっとというか、
かなり否定的に読まれていました。


に比べると昨今のミステリ作家数、その質など、
隔世の感のある広がりを見せていて、ほんとに
凄い!

by 天下布武 (2008-03-01 22:01) 

編集責任者

ブログのデザイン

春っぽく、明るいものにしようと思って、いろいろとチェンジしてました。
その試行錯誤していたときに、ご覧になられたのだと思います。
春めいたのにはなかなか良いものがなくて、結局、前のものに似たデザインに落ち着きました。

新しいデザインに良いものが追加されたら、変えてみます。


by 編集責任者 (2008-03-02 01:01) 

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