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『呪縛の家』 高木彬光 [高木彬光]

高木彬光の『呪縛の家』を読みました。
3度目になります。

名探偵・神津恭介が登場する長編としては第2作目。
戦前、戦中に隆盛を極めながらも、戦後すっかり没落した紅霊教という新興宗教の本部で起こる連続殺人。
すっかり信用を失墜した紅霊教の教祖。彼の3人の孫娘が殺害されるという予言が、破門された教祖の縁者の口から発せられる。教祖の親戚で、一高時代の友人でもある人物から助けを求められた松下研三が山奥の本部を訪ねると、さっそく密室殺人が発生。
と、あまりのもコテコテの本格探偵小説。

昭和25年の連載中にも、そのコテコテぶりに批判があったそうですが、冷静に今読むと、1990年ころの“新本格ブーム”にノベルスで出版してもそのまま通用しそうな小説です。
ある意味、早すぎた作品とも言えましょう(皮肉も込みで)。

「読者への挑戦」が2度にわたって挿入されている“犯人当て小説”でもあります。
しかし、フェアな書き方はされていません。
とくに、第1の殺人の密室の状況の説明が不十分です。
かなり妄想たくましくしないと、真相に思い当たらないでしょう。
まあ、詳しく書けば、すぐに判ってしまうからなんでしょうけれど。

2度目の「読者への挑戦」の中で、高木彬光は、
「諸君は謎が解けましたか。なに、わからないって。困りますね。そんなに勘が悪くちゃ。(中略)ここまで書いてわからないようじゃ、頭がどうかしています。」
と書いてます。
まあ、当時の高木彬光の若さというか、なんと言うか。
いまの作家がこんなことかいたら、その作家のブログは炎上することでしょう。

「勘がわるくちゃ」と高木が書いているとおり、このミステリの謎は、エラリイ・クイーン流のロジックでは解けません。本当に「勘」が必要です。


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コメント 2

天下布武

いいなあ、そのコテコテっぷり!
未読です。

「本格」という文字の後ろに透けて見える雰囲気、
舞台設定。

でも、真相への鍵は「勘」^^

その読者への挑戦、まあ、いい具合に投げやりで
調子こいていて面白いですね。

そのプロットがあまりにもコテった設定の
本格、ってところに惹きつけられます。

本格の、こうした厳密でないいい加減な
イメージは、「Yの悲劇」や「グリーン家」で、
共通的に刷り込まれているのかな。

なんか、家族が、ひとり、またひとり、と
殺されないと、いけない感じ。

作品で本格を示し続けることで、
定義を超えた、ある種あきれた~というような
本格のもうひとつの顔を作って行きたいっ
by 天下布武 (2007-09-13 00:29) 

編集責任者

今日、仕事帰りに古本屋に寄ったら、高木彬光の角川文庫版『妖婦の宿』の美本があったので、買ってしまいました。
ちなみに、百谷弁護士シリーズの『失踪』も購入。

なんだかんだ言いながらも、高木彬光のファンなのでありました。
by 編集責任者 (2007-09-14 21:55) 

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