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『ハサミ男』 殊能将之

『東西ミステリーベスト100』にもランクインしている有名な作品。
なぜか未読でしたので(とくに避けていたわけでなく)、読んでみました。
面白く楽しめました。

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)

  • 作者: 殊能 将之
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/08/09
  • メディア: 文庫


いっさいの予備知識なしによむべし! という系列のミステリー。
なので、詳しくは語りませんが、私の好きなタイプの作品です。
うっすらと真相が透けているように見えますが、(私にとっては)真相はその上をいっていました。

やや文章にクセがあり、一部描写がくどかったり、引用が多かったりしますが、まあ、傷にはならないていど。
そのあたり、私は適当に飛ばし読みしました。
テンポは、全体的に良い。

殊能将之はこのデビュー作のあと、変化球のような本格ミステリーを数作発表しましたが、早くに亡くなってしまいました。
代表作はこの『ハサミ男』で争いの余地なく、この一作でミステリー史に名を残した。
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『人間じゃない』 綾辻行人 [綾辻行人]

2017年は、綾辻行人のデビュー30周年。

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集

人間じゃない 綾辻行人未収録作品集

  • 作者: 綾辻 行人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/02/24
  • メディア: 単行本


高校からの帰りに立ち寄った書店で、平積みされていた講談社ノベルス版『十角館の殺人』を見つけたあのときのこと、いまでもよく覚えています。

「デビュー30周年 2冊同時期刊行!」と銘打った企画ですが、1冊が新装改訂版、もう1冊が未収録作品集というのは、いささか寂しい。

この『人間じゃない』は未収録作品集で、中編1つと短編4つが収められています。

「赤いマント」は、『人形館の殺人』の後日談
「崩壊の前日」は、『眼球綺譚』収録の短編の姉妹編
「洗礼」は、『どんどん橋、落ちた』の犯人当て小説シリーズのひとつ
「蒼白い女」は、『深泥丘奇談』の番外編
「人間じゃない―B04号室の患者―」は、『フリークス』番外編

館シリーズ、犯人当て、怪談、ホラーと、おおまかながら綾辻行人の作品群全体を俯瞰するように、幅広に収録されています。その意味では、30周年にふさわしい短編集かも。

「洗礼」の中身の犯人当てテキスト部分(いつものように入れ子構造)と
「赤いマント」は、オーソドックスな本格ミステリで、このまま眠らせておくのはもったいなかった。

「人間じゃない―B04号室の患者―」は、もともと「漫画原作として考案したプロット」だそうで、「漫画だからこそ成り立つ仕掛け」を使っています。
漫画版は読んでいませんが、確かにこれは面白いかもしれません。
小説では、工夫はされていますけれど、衝撃度は漫画よりは薄くなっていると思われます。

読み終えた勢いで、いま、『フリークス』を再読しています。
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『そして誰もいなくなった』 アガサ・クリスティー

昨年、NHK-BSで、イギリスBBCが制作したドラマ(全3回)が放送され、今春にはテレビ朝日で舞台を日本に移してのドラマ化。
なにやら、“春の『そして誰もいなくなった』祭”めいてきましたので、私も再読しました。これで3回目になります。

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/11/10
  • メディア: 文庫


読んだのは、最新の訳となる青木久恵訳のクリスティー文庫版。
長らくスタンダードだったのは、清水俊二訳の版。私もいままではこちらで読んでいました。

清水訳のほうは、舞台が「インディアン島」で、童謡は「10人のインディアン」。
青木訳では、「兵隊島」に「10人の兵隊」。
英米のペーパーバック版では、とある配慮から「インディアン」を「兵隊」に置き換えているらしく、青木訳でもそれにならったようです。
もともと、1939年発表時の英国版の題名は "Ten Little Niggers"で、舞台も「黒人島」でした。
米国版ではさすがに“Nigger”は使えないという判断だったようで、「インディアン」になったそうで。

一般に日本では、古い作品については巻末に「~当時の作者が差別を助長する意図で使用したものではなく~」などとと断り書きを入れて、原型どおりに刊行する流れが定着している感があります。
『そして~』の発表年代を考えると、これから日本で訳すものについては、発表当時の版を使ってもいいような気もします。

さて、青木訳は、オノマトペが多く、ひらがなが目立つことが気になりました。
早川書房では、2007年に「クリスティー・ジュニア・ミステリ」として青木久恵訳の『そして誰もいなくなった』を出しています。
クリスティー文庫の『そして~』は、これを元にしているのではないでしょうか。
ジュニア向けに平易に訳していたものが原型なら、うなずけます。
そのせいで、すらすらとあっというまに読めました。

清水俊二訳がけっして難しく訳しているわけではありませんが、見比べてみるとだいぶ雰囲気がちがいます。

さて、肝心の作品内容のほうですが、これはあらためていうまでもなく傑作。
私が一番好きなクリスティー作品です(月並みですが)。
黄金時代の英米本格とは思えないほどのテンポの良さと、サスペンス。現代でも立派に通用するスピード感です。

三読目で改めて感じたのは、犯人の異常性をかなり強調しているところ。
童謡に見立てて殺人を行うという非現実な行為を描くには、犯人に異常者になってもらう必要があるという判断なのでしょう。
そういえば、ヴァン・ダイン『僧正殺人事件』の犯人の異常性も光っていました。
現代のシリアルキラーものにつながります。

一方、横溝正史『悪魔の手毬唄』の犯人については、あまりそのへんは触れられていません。
20年前の惨劇に起因する悲劇が犯人を追い詰めた、というような書きぶりです。
そのあたりの違いは、面白いかも知れません。
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